先日、友人と飲みながら話していた時「経て」がキーワードになりました。
僕もそうですが皆様も、いろいろな「経て」を経験してきましたよね!?。
そして僕の大好きな稲盛和夫さんと、これまた大好きな本田宗一郎さんの出会いのお話を。
稲盛和夫さん。言わずと知れた京セラ、KDDIの二つの大企業を創業し、JAL再建の陣頭指揮も執られた「経営の父」。
そんな稲盛さんが会社をつくって2年目あたりから、だんだん経営というものを難しいと思うようになったそうです。経営とはいったいどのようなものなのか?経営者とはどんな人であるべきなのだろうか?
そんな折、神戸の有馬温泉で何泊かして有名な経営者の話を聞くというセミナーがあることを知ったそうです。当時のお金で数万円という大金だったそうです。しかし講師の紹介に「本田宗一郎」の名が!
当時の稲盛さんは、経営がうまい人というのは、いわば人種が違う、まったく別世界の人と思っていたそうです。
僕は今でも思っていますが(笑)
稲盛さんは京都セラミックの役員もされていた西枝一江さんに相談しました。
西枝さんは稲盛さんよりだいぶ年上の、いわゆる欲というものをもたない、たいへんな人格者だっそうで仏教思想をバックグラウンドに持ち、経営者としてもたいへん立派な方でらしたそうです。
「有馬温泉に本田宗一郎さんが来るので話を聞きに行きたい。お金を出してもらいたい。」
「何を言っているのですか。私がこうしてことあるごとにお酒を飲ませながら、あなたに教育をしてあげているのです。そんなところへ行ったって捨て金だから、行く必要はありません。」
「とにかく本田宗一郎という男に会ってみたいのです。ああいう奇跡的な成功を収める人が、どんな男なのか見てみたいのです。」
「行ったって大した勉強にはならないよ。しょうがないな」
稲盛さんが食い下がり、西枝さんはしぶしぶ承諾。
会場に行ってみると、大広間の中央に講師の演壇があり、その周囲に小さな机が。セミナーが始まり、本田さんは登場されるやいなや受講者をこっぴどく叱りました。
「皆さんは何をしているのか! 温泉に入って浴衣を着て、そして経営を学ぼうとは、あまりにも悠長です。私は経営を学ぶために、こんなことをしたことはありません。そんなお金を使っている暇があるなら早く会社に帰って自分の仕事を一生懸命しなさい。そのほうが経営の勉強になります」と一喝。
それから本田さん。仕事は「欲と二人連れ」でやれ。
稲盛さんは西枝さんから「人間としていかにあるべきか。ということが大切だ。仕事の本質は欲ではない。」と教えられていました。しかし本田さんは、「欲と二人連れ」で働けとおっしゃる。本当に正しいのか?
しかしその後、はっと目が覚める出来事が・・・・・・。
ある都市銀行から取引をしたいとアプローチされました。当時、銀行にあまり良い印象を持っていなかった稲盛さんは、つき合いを始めるには、銀行のトップがもっている哲学が重要だ、と考えたようで支店長に「おたくの銀行のトップにお目に掛からせてもらって、納得がいけばつき合いをしようと思います」伝えたそうです。今では生意気だったおっしゃられています。
その頭取は財界でも有名で、たいへん立派な方だったそうで、面会の時その頭取は出てこられるや否や「稲盛さん、今日は私があなたに面接を受けるのだそうですね。」と皮肉をガツン。
若かった稲盛さんは「そんなつもりではないのですが、御社とおつき合いを始める前に、そのトップがもっていらっしゃる哲学がどんなものなのかということを、まずお伺いしたいのです。」と言ったそうです。
「それでは、あなたはどういう哲学をもっているのですか?」と言われた稲盛さん。
西枝さんから教わった、人間性こそが最も大事だという話をしたところ
「あなたは老人みたいなことを言うのですね。まだ三〇代前半とお若いのだから、そんなことを言ってはいけませんよ。私も今は年をとったからそういう話もわかりますが、若い頃はもっと泥臭い人間でした。あの有名な松下幸之助さんも、若い頃はもっとぎらぎらと脂ぎった人でしたよ」と、言われたそうです。
稲盛さんは「そうか人格者で知られる、あの松下幸之助も若い頃はやんちゃだったのだな。お年を召されてから老成されたのだ。」と思ったそうです。
約二〇年後、再び本田さんとスウェーデンの王立科学アカデミーの会員に就任した時に再び本田さんと再会。
「お目に掛かると、それはそれはすばらしい人間性の方でした。本田さんは、確かに若いときは脂ぎってぎらぎらして「欲と二人連れ」でやってこられましたが、年を召されるにつれて分別がつき、人間のあるべき姿というものを理解され、人間性がどんどん円熟していかれた。」と語っておられます。
どんな方も「経て」ますよネ!!
19歳で見習いスタート。「美容師は職人やっ!技術、スタイルでモノ言え!」接客なんてしてこなかった20代。
ようやく少しカットが解りだしエッジもとれてきた30代。
美容師としてのスタンス、バランスがとれだした40代。今はユルすぎかなぁ~(笑)
今も「経」続ける45歳おっさん(笑)
人間性の高まりがディーマヘアーを成長させていけるのかなぁ~。
「二輪屋のおやじ」みたいな技術屋さんが、「ドリーム号」をつくって、二輪から四輪へと一代で世界を席巻!!
最後は僕の一番大好きな本田宗一郎語録。
人間が進歩するためには、まず第1歩を踏み出すことである。躊躇して立ち止まっていては駄目である。なぜなら、そこにどんな障害があろうと、足を踏み込んではじめて知れるからだ。
失敗は、その1歩の踏み込みだと思う。 前進への足跡だと思う。
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